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技術を次の世代に
植和紙本舗 5代目 植 貞夫
説話によりますと、大海人皇子の一行が当地に滞在された折に、紙漉きの技術が伝わったとされており、それが真実としますと当地の和紙生産には1300年以上の伝統があることになります。植 貞夫
この言い伝えは全くの作り話とも思えませんが、文献で遡ることができるのは室町時代までです。
それでも、当地での紙漉きには600年以上の歴史があることになります。
しかし、社会構造の変化には勝てず、戦前にはおよそ300軒あった和紙生産者が、現在では10軒にまで減少してしまいました。
このような状況の中で、祖先から引き継いだ高度な技術を次の世代に伝えていくことが、私の最も重要な任務と考えています。
そのためには、伝統的な和紙製品のほか、時代にマッチした製品を作り出すことが不可欠であるとの思いで、消費者の皆様からいただいたご意見を参考にして、日々試作を重ねております。
はなはだ微力ではありますが、できる限り皆様の意に沿うような商品を今後も作り続けたく存じますので、これからも温かいご支援、叱咤激励をいただけますよう、心からお願い申し上げます。
植和紙工房
伝統を守りながら時代のニーズに応える
弊社の操業は江戸時代にまで遡るが、その時期は明確でありません。
しかし、2代目が現在の土地に移り、明治22年には紙漉きをしていた記録があります。
それ以来現在に至るまで、コウゾを原料とする和紙を流し漉きの手法により生産してきました。
当初は、障子紙や化粧紙などを生産していたのですが、時代の移り変わりにより、近年では「宇陀紙」と呼ばれる最高級の表装用和紙を主に製造しています。それは奈良県の伝統工芸品として認定されています。
そのほか、平成4年には吉野スギ・ヒノキの樹皮を原料とした和紙作りに奈良県森林技術センターとともに挑戦、また、平成11年には和紙の立体漉きに挑戦しました。
その姿勢と実績が認められ、下記に示すように種々の賞を受賞しました。
それらの製品の需要は、年々増加の一途をたどっています。
当社では、継承された伝統を守りつつ、決してそれにとらわれることなく、常に時代のニーズを見極め、それに合致した製品を作ることを努めています。
現在は5代目植貞男が代表を務め、6代目植浩三が製造の中心となっております。
受賞歴
時代に挑戦する姿が認められました
スギ・ヒノキ皮和紙製造技術の開発とその普及に関して和紙で作られた名刺
・平成5年 なら・グッドデザイン展「奈良県商工会議所連合会会長賞」
・平成5年 ローカル技術実用化促進事業「最優秀賞」((社)日本木材加工技術協会)
・平成6年 第40回林業技術賞((社)日本林業技術協会)
立体漉きに関して
・平成12年 なら・グッドデザイン展「クラフト部門優秀賞」
・平成13年 なら・グッドデザイン展「クラフト部門入賞」
製品紹介
宇陀紙
最高級の表装用裏打ち和紙。コウゾの甘皮(内樹皮)から、傷や変色部分を手作業で除き、本当に白い部分だけを原料として、それに白土を加えて漉きあげた手触りの柔らかい乳白色の和紙。書道用紙や障子紙など幅広い用途があります。
吉野スギ皮和紙
吉野の山から産出されるスギやヒノキの甘皮(名刺などの用途に内樹皮)を原料とする和紙。温かみのある色合いと、手触りが特徴の植和紙製造オリジナル商品で、書道用紙、色紙、名刺、はがき、便せん、封筒などのほか、タペストリーや使用目的自由の厚手角形、皿形、舟形など多数の商品があります。
吉野森の香
柿渋仕上げスギ・ヒノキの甘皮(内樹皮)を原料として、それをうつわ状に漉きあげた製品。耐水性を上げるために、柿渋仕上げをした製品もあります。もちろん、使い方は自由。
時遊時歓(じゆうじかん)
時遊時歓スギ・ヒノキの甘皮(内樹皮)を原料とする和紙を文字盤にして、針には天然木を使った100%Made in Yoshinoの時計。
暮らしに役立つ和紙づくり
吉野手漉き和紙 エコロジーへの取組み
吉野手漉き和紙の壁紙
最高の自然素材、吉野手漉き和紙を壁紙として使ています。
落ち着いた和紙の壁紙は、部屋の雰囲気を暖かく、優しく包み込みます。
もちろんすべてが自然素材で出来ているため、アレルギーの心配がありません。
吉野杉と吉野和紙で作られる家、エコロジーへの植和紙工房からの提案です。
丁寧に漉かれた和紙は、一枚一枚の表情が微妙に異なり、空間を優しい雰囲気に変えてくれます。
化学物質を一切使用しませんので、アレルギー体質の子供部屋にも最適です。
最近話題の珪藻土を練りこんだ和紙を使用すれば、高い湿度調節機能を発揮します。
また火災の場合にも有害な煙を発生させることもありません。
フォトアルバム
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